中小企業診断士ウォッチャーのここだけのお話

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中小企業診断士の「戦略のタイプ」と「競争の型」

入山章栄さんの「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」を読んでいて、「戦略と競争の型」の話は中小企業診断士自身にも当てはまると思い書いたお話です。

1.戦略のタイプと競争の型

「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」の「第3章あなたの会社の戦略がうまくいかない、最も根本的な理由」に戦略と競争の型について書かれています。ざっくりいうと、業種や市場により「競争の型(IO型、チェンバレン型、シュンペーター)」(図1参照)があり、それぞれに有効な「戦略のタイプ(SCP戦略、RBV戦略、リアルオプション戦略)」が異なるというお話です。詳細は、書籍をご確認ください。 
ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学

  • 作者:入山 章栄
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 単行本
 

 

 図1:競争の型の説明
競争の型 説明

IO型

業界構造が比較的安定した状態で、その構造要因が企業の収益性に大きく影響する業界。特徴は下記になる。

  • 参入障壁が高くて、新規企業が参入しにくい
  • 大手2~4社が市場シェアの大部分を占める寡占状態
  • 各社が緩やかに差別化しながら、ガチンコ競争を避けている
チェンバレン型

IO型よりも参入障壁が低く、複数企業がある程度差別化しながら、それなりに激しく競争する型で、プレイヤーは差別化することが前提の型です。

シュンペーター型 この型の最大の特徴は、「競争環境の不確実性の高さ」にある。「技術進歩のスピードが極端に早い」「新しい市場で顧客のニーズがとても変化しやすい」といった競争環境。
 (ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学を参考に図表化したもの
 

2.中小企業診断士の「競争の型」

競争の型としてIO型、チェンバレン型、シュンペーターがあげられていますが、中小企業診断士の「競争の型」は、どれにあてはまると思いますか?中小企業診断士の仕事の幅は広いので、仕事により、それぞれに当てはまります(図2参照)。
 
図2:競争の型と診断士の仕事のタイプ
競争の型 診断士の仕事のタイプ
IO型 補助金の申請の支援をする診断士の集団や、M&Aの支援をする診断士の集団がこの競争の型に当てはまる
チェンバレン型 多くの診断士がこの競争の型に当てはまる
シュンペーター型 RPAやIoTなど、IT系のトレンドに対応する診断士がこの競争の型に当てはまる
 

3.中小企業診断士の「戦略」

中小企業診断士は、自分の仕事の「競争の型」を見極めて、適した戦略を採用することが必要になります。
 
図3:競争戦略と「競争の型」の関係

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(出所:ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学の同名の図を簡略化したもの)
 
診断士の仕事のタイプと戦略を対照させると、それぞれが、適した戦略を採用しているように見ることができます。
 
  • IO型の診断士の仕事(補助金やM&A)では、SCP戦略を採用し、参入障壁と移動障壁を高めるために、集団化して取り組んでいる人たちがいます。
  • チェンバレン型の診断士の仕事(一般的な診断士の業務)では、RBV(リソース・ベースト・ビュー)戦略を採用し、経営資源に競争優位を求め、価値ある経営資源を形成・活用することを中小企業診断協会が行っています。
  • シュンペーター型の診断士の仕事(RPAやIoT関連の支援の仕事)では、日進月歩のIT技術を追い、顧客のニーズの変化が激しい新しい市場を相手にするIT系の診断士がいます。
経営理論を意識してみることで、自分の戦略の整合性を確認することができ、クライアント企業に対する経営支援の時の戦略に対して経営理論に基づいた評価をすることができます。 
 

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